アサーティブネスって何?
◆アサーティブネスとは?
自分の要求や意見を、相手の権利を侵害することなく、誠実に、率直に、対等に表現することを意味します。
よりよい人間関係をつくるためのコミュニケーションです。
◆アサーティブネスの4つの柱
「アサーティブには、人と向き合いコミュニケーションを取るときの大事な柱があります。
「誠実」「率直」「対等」「自己責任」の4つの柱です。
◆コミュニケーションパターン
アサーティブでないコミュニケーションパターンには、次の3つがあります。
(攻撃的)・人に食ってかかる攻撃的なタイプ
(受身的)・自己犠牲的で、ふみにじられても黙っているタイプ
(作為的)・攻撃性を隠して相手をコントロールするタイプ
それに対して、
自分の気持ちと意見を誠実に、率直に、対等に伝えられるタイプをアサーティブであるといいます。
◆アサーティブネスを支える人権思想
アサーティブネスとは、自分も相手も大切にした、誠実で率直で対等なコミュニケーションのやり方です。
アサーティブネスの思想そのものは、1970年代のアメリカの女性解放運動の中から生まれてきました。
それまで「セカンド」として自分を誰かの次においてきた女性たちが、自分のことは自分で決める、誰かのために生きるのではなく自分自身のために生きるということを、意識的に選択し始めたことが始まりでした。
アサーティブは、私が私らしく生きることは基本的人権であるという思想なのです。
アサーティブで語られる権利を、「12の権利」としてリストアップしてみました。
私には、日常的な役割から自立した一人の人間として、自分のための優先順位を決める権利がある。
私には、賢くて能力のある対等な人間として、敬意を持って扱われる権利がある。
私には、自分の気持ちを言葉で表現する権利がある
私には、自分の意見と価値観を表明する権利がある
私には、『イエス』『ノー』を自分で決めて言う権利がある
私には、間違う権利がある
私には、考えや気持ちを変える権利がある
私には、『わかりません』と言う権利がある
私には、欲しいものを欲しい、したいことをしたいという権利がある
私には、人の悩みの種を自分の責任にしなくてもよい権利がある
私には、周囲の人から認められることに頼ることなく、人と接する権利がある
私には、アサーティブでない自分を選択する権利がある
これは、私たちが自分自身でいるための基本的な原則であり、他人とのよりよい関係を築くための土台となります。
権利は、自己責任を伴っています。自己責任を欠いた自己主張は決してアサーティブではありません。
自分の権利と責任をしっかり認識した上で、はじめて対等で誠実なアサーティブなコミュニケーションは成り立つのです。
◆気持ちを伝えてみよう
どう伝えていいのかよくわからない、能力がないと思われたくない、結果が恐ろしい、相手との人間関係が悪化するのでは、などと思い込んで、言いたいことを飲み込んだことはありませんか?
イライラしていたために、つい頭ごなしにどなってしまったことは?
要求を相手に明確に伝えるということは、自分の要求と気持ちを「伝わるように」伝えるということです。
相手を責めても自分が我慢しても、問題は解決しません。
大切な課題に対して、はっきりと自分の意向を相手に伝えることは、問題解決の一歩を自分から踏み出すことを意味しています。
アサーティブの原点は、誠実、対等、率直、そして自己責任。
自己主張をする権利と責任を相互に確認しあいながら、話し合いのテーブルにつきましょう。
◆「NO」と言ってはっきり断ろう
「いや」「いいえ」ということは、自分勝手で相手を傷つける、人を拒絶してしまうことになる、などと思ってはいませんか?
素直に「いいえ」と言えなかったために力量以上の仕事を抱え込んでしまったり、「来たくなかったのに……」と後悔したりという経験は誰にでもあると思います。
「ノー」と言いたい正直な気持ちにふたをして「イエス」と答えてしまうと、「ノー」と言いたかった気持ちはどこかで必ず出てきます。
それがいやな仕事であれば後回しにしたり、行きたくない会議には遅刻してしまったりします。時には、仕事の失敗を誰かの責任に転化してしまったりします。
気の進まないイベントの直前に、頭痛や胃痛が始まり、欠席する理由ができてよかったとホッとすることもあるでしょう。体が間接的に「ノー」と言っているのです。
反対に、来るといって来なかったり、やるといって引き受けてくれた仕事を最後になって放り出されて、腹が立ったり、失望したことはありませんか。
「最初から断わってくれれば、問題も少なかったのに」遠回しの「ノー」はかえって相手の信頼を傷つけるのです。
「イエス」「ノー」がはっきりしていると、つきあうほうも気が楽です。
同時に、自分の限界を知り、率直 に断わることで、自分の好きなことにもっと時間を費やすことができます。また、仕事を引き受けすぎて「燃えつき」てしまい、結果として周りに迷惑をかけることも防ぐことができるでしょう。
「ノー」とは…
・相手と自分に誠実でありたいからこそ、言う言葉
・あなたと私は違う。それがO.K.だから、伝える言葉
・何ができて何ができないのかをわかってもらう、理解の言葉
・相手と長くよりよい関係を築く、かけ橋の言葉
・あなたを「燃えつき」から救う、魔法の言葉
・おかしいことにはおかしいと立ち上がる、勇気の言葉
◆人をほめるとき/ほめられるとき
誰かをほめたいとき、愛情を伝えたいとき、どのように伝えていますか?
照れくさいので黙っていますか、ぶっきらぼうに態度で示しますか?
「自分はできないのでうらやましい」と、自分を卑下してはいませんか?
反対に、ほめられた時にはどのように反応していますか?
即座に否定しますか、「とんでもない、自分なんて」と恐縮しますか、受け取った後に皮肉を一言返しますか?
他人をほめるということは、自分も相手もよく理解していないとできません。
相手の良いところを認めて、それを「いいね、好きだよ」と伝えることは、人間関係の根本にある「理解しあいたい」「相手とよい関係を築きたい」という、愛情や希望に基づいた行為です。
プラスの感情を相手に伝えることに取り組んでみましょう。
ほめたり、ほめ言葉を受けとることは、相互信頼と自己信頼を築くための最短コースです。
◆批判に対処する
批判を手放しで受け入れられる人はいません。
批判を受けると、私たちは不愉快になったり、拒絶されたと思って落ち込んだり、反対に相手を攻撃したりします。
批判を受けるということは、できれば見ないでおきたかったところを、突然目の前に突きつけられるようなものだからです。
しかし、攻撃的に相手に返したり、批判を無視したり、避けたり、あるいは全部取り込んで自分を責めて落ち込んでいては、問題の解決にはなりません。
相手があなたに伝えようとしたメッセージを聴いた上で、問題解決に持っていくにはどうすればいいのでしょうか。
ここで学びたいポイントは、次の4つです。
1. 批判の言葉を聴けるようになること
2. 批判が正当か正当でないかの判断ができること
3. 批判を受けたときの気持ちを、適切に表現できること
4. 話し合って問題解決に持っていけること(今を見直すチャンス到来!)
◆上手に怒ろう
腹が立つとき、イライラするとき、ムッときたとき、あなたはどのように表現していますか?
カッとなって相手を徹底的に打ちのめしてしまいますか?
怒ったところでしょうがないと、ため息をついてあきらめますか?
それとも、その場では平静をよそおい、後で復讐しますか?
自分の怒りにふたをしていると、欲求不満がつのり、ついには爆発して、まわりの人を傷つけたり自分自身を傷つけたりすることになりかねません。
「怒り」は人間の喜怒哀楽の中でも、最も取り扱いが難しいと考えられています。
この社会の中では「怒らないこと」=「大人である」とさえいわれるほど、怒りは否定的な評価を受けています。
とりわけ女性が怒りを表現するときは、「かわいげがない」「ヒステリー」というレッテルを貼られ、率直にまっすぐ怒りを表現できる機会はほとんど与えられてきませんでした。
多くの男性にとっても同じで、怒りは暴力や脅しと結びつけられがちです。
しかし、怒りは決して否定的な側面だけを持つのではありません。
不正や差別に対する怒りは、しばしば社会変革の原動力となってきました。
この意味で、怒りは非常にパワフルなものです。
ポジティブな怒りの側面とネガティブな側面とを私たちは見分け、上手に対処していく必要があります。
怒りの感情をアサーティブに取り扱い、表現することの基礎を、ここでは学んでいくことにしましょう。
ここで学びたいポイントは、次の2つです。
1. 相手も自分も傷つけないで怒りを伝えることができること
2. 怒りを感じたあとの行動を自分の責任で決めることができること
◆対決と交渉のイロハ
私たちは、怒りや傷ついた気持ちなどの否定的な感情を胸の中にため込みがちです。
その場で傷ついた気持ちや意見を相手にはっきりと伝えられないとき、対決を避けるためのもっともらしい言い訳を考えてはいませんか。
今は適当ではない |
「忙しそうだから」「食事の最中だし」 「みんなが楽しそうにやっているのに」 |
あの人は悪くない |
「疲れているから」「病気だし」 |
重要ではない |
「たいしたことではない」「成果が上がっていないし」 「このぐらいのことで」 |
悪い印象を与えたくない |
「バカみたいに見えるから」「大人気ないから」 |
結果が恐ろしい |
「人間関係が壊れる」「反対に批判を受ける」 |
ふたをされた感情は、必ずはけ口を見つけてどこかに顔をだします。
それは体の不調となって現れたり(胃痛や頭痛、疲労など)、家族や部下など身近で安全な人たちへ不当にぶつけてしまう形をとってしまいます。
自分の心に潜む怒りの感情、その裏にある悲しみや失望感などを、相手に率直に前向きに伝えて、本当の自分を理解してもらうことが問題の解決をはかっていくための最良の方法なのです。
◆自分を愛する(自己信頼)
・自分の価値を知っている
・自分が何をしたいのか、何を大切にしているのかを知っている
・自分と相手の存在に、最高の敬意を表することができる
・自分が感じていること、考えていることを大切にして、その場その場でどう行動するかを選択できる
・現実に向き合い、できることが何かを考えて行動できる
私たちは自分の基準によって自己評価し、自分の価値を自分で見いだす必要があります。
自分を信頼していれば、間違いを犯したとしても、誰かに拒絶されたとしても、どん底に落ち込んでしまうことはありません。
「イエス」「ノー」どちらを言ったとしても、自分を信頼し自分の選択に責任を持っていれば、その結果を引き受けることができます。
自己信頼感が高いということは、自分のありのままを受け入れられるということです。
それは、一人で何でも我慢するのではなく、つらいときには「つらい」と言い、時には人に「助けて」と言えることです。
長い目で見て、自分を愛する戦略を立てていきましょう。
自分を愛することができるようになるために、あなたのできることはたくさんあります。
1.もともと持っている自分のポジティブな面を認めてあげる。
2.自分に優しくできる方法を知っている
3.長期的に自分の人生の目標をもって、それに向かって行動する。
あなた自身を愛し、その思いを目の前の人にも向けてみましょう。
お互いのよさにもっともっと気がつくことでしょう!
アサーティブ・コミュニケーション
自分の気持ちや考えを、まっすぐに表現するコミュニケーションの方法
キーワードは
【対 等】:自分が相手よりも上だとか、相手より下だとか、
そういう考えにとらわれることなく、同じ立場の人間として向き合うこと
【率 直】:とうまわしに言ったりくどくど言い訳したりせず
気持ちや意見を素直に簡潔に私言葉で伝えること
【誠 実】:自分にも相手にも正直に、心をこめて向き合うこと
【自己責任】:自分がどうするかを自分で決め、結果にも自分で責任を持つこと
人の言いなりになったり、人のせいにしせず
自分の思いを素直に伝えること
《身近な相手にまっすぐに向き合いましょう》
自分の望みを相手に伝えるコツ
○ 伝えたいことを絞る
○ 時と場所を選ぶ(相手の都合を聞いたり、別室や時には社外で)
○ 前向きに(建設的に)始める
○ 事実を挙げる
○ 自分の素直な気持ちを伝える
○ 相手の言い分もしっかり聴く
○ 実行可能な提案をする
○ より良い目標に向けて、前向きに終わる
《 批判されたらどうしますか 》
批判を上手に受け止めるコツ
◇ アサーティブ・コミュミケーションでは、「批判はプレゼント」と考えます
◇ 批判は、
「私に関心を持っているから」
「期待しているから」
「一緒に問題を解決したいから」
指摘してくれるのだと受け止めるのです
◇ 批判のボールを上手に受け取ることで、自分の問題に気づいたり、新しい見方や考え方を得たり、相手を理解したり、関係を深めたりすることができるのです
◇ 自分に自信が持てないときには、批判のボールが飛んでくると、自分を否定されたように感じて、傷ついたりしやすいことも知っておきましょう
○ 相手をさえぎらずに聴く
○ 相手に確かめる
(事実・背景とその裏にある感情)
(行動には必ず思いがある)
○ 素直な気持ちを口に出す
○ 話し合って問題を解決する
○ 不当な非難には抗議する
《ムカッと来たときの対処方法》
怒りを上手に相手に伝えるコツ
○ 怒りを伝えていい
(相手への批判ではなく自分は怒っていることを素直に伝える)
○ 正論でなく気持ちを伝える
(思いを知ることで相手は変わる)
○ イライラはどこからきているかを探る
(問題の本質を見つける)
○ 問題を特定して話す
(あれやこれやでは問題の解決は難しい)
○ 要求を具体的に伝える
(解決は具体的であるほど実現しやすい)
《NOと言って、自分の意思を明確にする》
「NO」と言うときのコツ
○ 私はそのことを受け入れられないことを素直に伝える
○ 理由は簡潔に伝える
○ 結論まではっきり伝える
○ 相手の気持ちに責任を負わない
○ さっさと立ち去ることも必要
《プラスの気持ちを伝えよう》
プラスの気持ちを伝えるコツ
○ 言葉にして始めて伝わる
○ ほめ言葉は具体的に、比較や先入観なしで
○ ぎこちなくても、とにかくトライ
○ ほめられたら素直に受け取る
○ 自分をほめよう
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