人権研修を開催するにあたっての考え方について私見を述べてみます。
1.テーマの選定
取り上げるテーマは、社会問題、企業活動内で起こっている問題、日常生活の中で起こっている問題、国際社会で起こっている問題、さらにはこれから起こるであろうと予想されるさまざまな問題が対象となります。
人権研修を実施するにあたっては、いずれのテーマを取り上げる場合においても、その問題を私たち一人一人の問題として考え、日常生活の中でそれらの問題の解決に向けた具体的行動をとる意識と勇気を醸成し、その行動を支える環境づくりを目指したいものです。
今回取り上げたテーマは今日私たちが直面している社会的問題であり、個人としても企業活動においても大いに関心を持て取り組むべき課題だと考えます。
2.テーマを取り上げる視点
① 事象の紹介
② 問題点の抽出
③ 取り組むべき課題
④ 日常活動における具体的な行動
3.個別課題への取り組み
個別課題への取り組みは、社会問題を取り上げるケースと企業活動内の問題を取り上げるケース、日常生活において発生する問題を取り上げるケースが考えられます。
特に配慮すべきは、社会問題を取り上げる場合、その問題を他人事とするのではなく、身近に起こっている同様の事象を紹介し、自分たちの問題として考え、解決への道筋を話し合うことで、社会問題の理解を深め、日常生活の中で私たち一人一人が何をなすべきかを考える取り組みが大切です。
人権研修を開催する目的は、様々な人権にかかわる問題に直面したときに具体的行動がとれる{人」を育てることなのです。
4.事前の準備
① テーマの選定と問題の本質
参加者が関心を持ちそうなテーマ、関心を持ってもらいたいテーマを選びます。
テーマについて、起こっている具体的事象を把握し、その事象が人にどのような影響を与えているのか、問題の本質を明らかにします。
肉体的側面、精神的側面、社会生活・社会活動への制約、人としての存在価値への影響、そして公共の福祉とのかかわりについて考察します。
② 類似テーマの洗い出し
社会問題は、社会の一員である私たちの職場や地域社会でも同様に起こっているのです。
同様の本質を持つ身近な問題を洗い出しておきましょう。研修時には、取り上げてテーマの問題についてその本質を話し合った
後、参加者から気づいた同様の問題を紹介してもらいましょう。
日常生活と少し離れた問題と考えがちなテーマを話し合う場合は、同様の問題本質を持つ身近な問題について話し合うことが、
理解を深める良いアプローチです。
③ 社会的取り組みの確認
人権課題へ対応するため「世界人権宣言」はじめとする様々な社会的ルールが構築されています。
条約・法令・業界団体が定めるルール・企業独自のルール・社会規範・社会習慣や風土・文化など私たちの日常活動にかかわる
様々なルールが存在します。
④ 私だったらどうする
取り上げたテーマについて「私」だったらどのように行動するかを考えておきましょう。
この意見は、あくまで参加者の一人としての意見として扱うことが大切です。
主催者の意見を押し付けるのではなく、参加者全員の意見を出し合い、みんなで話し合ったうえで、どのように行動することが望まれるのかを探っていきたいのです。
5.研修開催時の留意点
① 意見の尊重
一人一人の意見を尊重します。今は、その意見がその人にとってはベストなのですから。
その意見にはそれぞれ背景があります。その背景を知るために「なぜそう考えるのですか」と問いかけてみましょう。
私の意見とその背景を紹介し、ほかの人たちの意見も合わせてみんなで考えてみましょう。
良い方向が見つかるかもしれません。
② 被害者と加害者の対立構造からの脱却
人権問題を考えるとき、良いか悪いかで済ましていないだろうか。
問題を解決するとは、お互いを理解し合い共に暮らすことができるようより良い関係を築く取り組みなのです。
まずか客観的に起こっている事実を把握します。
その事実によって、当事者にどの様な影響を与えているかを確認します。
その事実に対して、当事者はどの様な思いを持っているのかを確認します。
その事実に対して、当事者はどのように変えていきたいと思っているかを確認します。
その事実を変えるために、当事者はどのような行動をとることを選びますか。
③ 意見に対する批判はご法度
今持っている意見を批判することは避けなければなりません。
今持っている意見は、その人にとっては正しい意見なのです。
その意見を採用するかはその人が選ぶのです。
それではどうすれば良いのでしょうか。
背景を含めて様々意見を提供し、選択肢を広げてあげることが大切です。
気づいてもらってよりよい選択をしてもらえればうれしいですね。
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