《 今会社に求められるのは常なる“イノベーション” 》

  

成功する会社というものは、斬新なイノベーション戦略を会社組織の構造に組み込んでいます。

それを一年中、事業の様々な分野で実行しているのです。

 チームの創造性のエンジンが最高速度で稼働していれば、その勢いと相乗効果によって、会社は好調な時も不調な時も、常に他を一歩先んじて走っていられます。

 イノベーションを推進させる役割をうまく生かせば、あなたの創造性の幅は広がり、正しい目標に見合った正しい役割を選び取る柔軟性が持てるようになるのです。

  

[イノベーションに役立つキャラクター]

  

□はじめに求められるのは、情報収集のキャラクター

 

 個人も組織も自分の知識を広げて成長するためには、常に新しい情報源を集めてくる必要があります。

 これらのキャラクターの行動基盤には、会社が現在どれくらい成功していようと、“決して満足する余裕はない”という考えがあります。

世界は刻一刻と、加速度的に変化しており、今日の段階では素晴らしいアイディアも明日には時代錯誤になっているかもしれないのです。

情報収集の役割は、チームの目が内側に寄りすぎないようにすることであり、自分の「知識」にうぬぼれすぎていないかどうかを組織に思い出させることです。

 

1.人類学者

人類学者は人間の行動を観察し、提供されている製品やサービスやスペースと人間がどのように~身体的にも感情的にも~相互作用しているかを深く理解することによって、組織に新しい情報や発見をもたらします。

ある職場にまる2日間張り付いて、職場の人たちと一緒に過ごすとすれば、働きやすく生産性の高い職場環境の開発につながるのです。

 

2.実験者

実験者は、常に新しいアイディアのプロトタイプをつくりながら、建設的な試行錯誤を繰り返すことによって新しい情報を得ようとします。

計算されたリスクを冒し、「実験を現実化させる」ことを通じて成功に達するのです。

これだと思ったことはまずやってみましょう。そうすればもっと良い方法に気づきます。

  

3.花粉の運び手

花粉の運び手は異なる業界や文化を探り、そこで発見したことを自分の事業特有のニーズに見合うように変換します。

情報化時代の中で、身の回りにある情報を自分の仕事に活かしてみましょう。

仲間の話や、お客様の困っていること、畑違いの技術革新にも関心を持って活かそうとすれば、きっと仕事のやり方が変わってくるでしょう。

  

□次に登場するのは、土台をつくるキャラクター

  

どんなにいいアイディアでも、絶えず時間や関心や資源の取り合いをしなければならないのです。こうした土台をつくる役割をになう人々は、予算や資源の配分プロセスを大切にします。

  

4.ハードル選手

ハードル選手は、イノベーションに至る道程に多くの障害物がばら撒かれていることを知っており、資金の調達、事前の調整などアイディアを実現するために障害を乗り越えたり、ときにはやり過ごしたりするコツを心得ているのです。

  

5.コラボレーター

コラボレーターは多彩な集団をまとめあげ、たいてい集団の中央から指揮を執り、新しい組み合わせや分野横断的なソリューションを生み出します。

あるカスタマー・サービスのマネジャーが懐疑的な社内の人たちを説き伏せて、新しい形の協力体制についてブレイン・ストーミングするというアイディアを認めさせ、その結果、新しいプログラムによって会社の売り上げが大きく伸びたなら、彼はとても立派なコラボレーターの役を果たしていることになります。

  

6.監督

監督は、才能あるキャストやクルーを集めてくるだけでなく、彼らのクリエイティブな才能を開花させる手助けもします。

  

□最後に、お客さまの満足を実現するキャラクター

 

この役割は、情報収集をする役割から得られた発見を適用し、土台をつる役割から委託された権限を利用して、イノベーションを実現させるものです。

このキャラクターを引き受ける人は、行動の核心部分にいて組織に仕事の足跡を残します。

  

7.経験デザイナー

経験デザイナーは、単に機能的なだけでなく、表にでてこない潜在的な顧客のニーズにもっと深いレベルで結びつく、説得力のある経験をデザインします。

アイスクリーム店がフローズン・デザートをつくる過程を楽しいドラマチックなパフォーマンスに変えるとすれば、その店はあたらしい顧客経験をデザインして成功させていることになるのです。それに付随するプレミア価値や口コミでの評判は、経験デザイナーの役割が果たされたことの証明なのです。

  

8.舞台装置家

舞台装置家は、イノベーション・チームのメンバーに最もよい仕事をさせる舞台を設営して、ただの物理的環境を、行動や姿勢に影響を及ぼす強力なツールに変換します。

適切なオフィス環境がクリエイティブな文化の育成や維持の一助となるのです。

舞台装置家の力を引き出す組織は、驚くほど業績が向上するのです。

空間を変えることにはそれだけ価値があるといえます。

  

9.生活支援者

生活支援者は、理想的な医療専門家がやっているように、単なるサービスを超えたケアを顧客に提供します。優れた生活支援者は、顧客のニーズを予測し、常に即応できるようにするのです。本当に求められているサービスがそこにあるのを目にしたとき、その中心にはたいてい生活支援者がいます。

決して見下した態度は取らずにワインの喜びを満喫する方法を顧客に教えているワイン・ショップは、生活支援者の役割がどういうものであるかを示している、と同時に、手堅い収益も獲得しているのです。

  

10.語り部

語り部は、人間の根本的な価値を伝えたり、特定の文化の特質を強固にしたりする説得力に満ちた語りを通じて、内部の士気を高め、外部からの評判も高めるのです。

トヨタやホンダ、スターバックスなどの会社には多くの企業伝説があり、それが会社のブランドを支え、チーム内に仲間意識を培っているのです。

こうしたキャラクターの魅力は、それが実際に機能することで発揮されます。

才能あるチームの鋭い洞察や仕事に向かうエネルギーを引き出してほしいのです。

それには花粉の運び手、人類学者、実験者といった役割を堅実に演じられるようになることが必要となるのです。

 

これらの取組に欠かせないのが

“職場の良質なコミュニケーション”

  

別添「チームを率いるためのコミュニケーション(語るべきこと)」を参照