《 アメリカにおける面接時の注意点」》

  

1.面接の際の注意点

  

面接担当者は、面接の際、職業に直接関係する質問だけにとどめる注意が必要である。

したがって、雇用の条件として、人種、肌の色、宗教、出身国、先祖、性別、妊娠しているかどうか、結婚状態、性的嗜好、身体的障害および退役軍人であるかなどの質問は許されない。

  

2.面接時に避けるべき質問事項・質問例

  

●旧姓

●生年月日・年齢

  (仕事の業務遂行能力・適性は年齢に関わりない)

●市民権(アメリカで雇用される資格があるかを聞けば良い)

●小学校や高等学校教育を終了した時期

●本人または両親の出生地

●持ち家の有無

●子どもの名前および年齢

●託児に関する質問

  (採用された場合、子どもの世話はどうするのか等の質問は許されない)

●将来の出産計画

●肌・目・髪の色

●身長、体重

●写真の提出を求めること

●健康状態

●「エイズ症ですか?」「喘息がありますか?」

●「アルコール摂取量やアルコールに関わる問題で

    治療を受けたことがありますか?」

●「昨年、何日間病気でしたか?」

●宗教上の理由で週末や祝日に働けないことがありますか?」

●所属団体、クラブ

  

3.法律上認められている質問

  

○氏名(本名のほかに使用している名前があればそれを尋ねることも可)

○居住地と居住年数

○18歳以上であるかどうか

○同企業に勤務している親戚の名前(親戚関係にある社員の業務割り当て方針もあり得る)

○「どなたの紹介ですか?」

○仕事に関係ある過去の職業で得たスキル

○職歴

○「この仕事を合理的にかつ安全に遂行できる能力がありますか?」

○法律上、アメリカで雇用されて良い立場であるかどうか

○「企業が(その必要があれば)妥当な便宜を図れば、職務遂行が可能ですか?」

○兵役に関する質問、軍隊から懲戒除隊であったかなどを尋ねることは可だが、その理由のみで不採用とすることはできない。

○「定められた出勤条件を満たすことができますか?」

○「法律上で禁止されている薬物を使用していますか?」

 (注:そのような薬物の使用料に関する質問は不可)

  

4.法律上コメントすることを認められている事項

  

○親戚関係にある社員の業務割り当てに関する企業方針

○通常やその他の個人に関する情報は、採用決定後、保険や福利厚生、セキュリティ上の理由で求めることは可能

○採用のプロセスとして面接や筆記試験、技能のデモンストレーションを含むことは可能

  

5.面接担当者は、法で保護されている個人の事柄について、間接的に質問することも避けるべきである。

  

例えば、

●仕事に必要な外国語が堪能であることを尋ねることは可能だが、どのようにその言葉を習得したかについては質問不可である。

●どの国の市民権を所有しているのか、あるいはアメリカ市民権の有無を尋ねることはできない。かわりに、アメリカで雇用されて良い立場にあるかを尋ねることはできる。

●「私たちは若く、力強い人材を求めています。」「定年まで何年間ぐらい努めるつもりですか?」「子どもをつくるまで何年ぐらい努めるつもりですか?」等の差別的質問やコメントは避けるべきである。

  

6.ストレス・インタビューはトラブルを招く可能性がある。

  

●無理難題を押し付けて、応募者がどのように反応を示し、その状況を乗り切るかを試すスタイルのインタビューは避けるべきである。

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