OECD多国籍企業行動指針の概要 

 

11976年、OECDは世界経済の発展に大きな影響を有する多国籍企業の行動に関し、加盟国政府が企業に対して責任ある行動をとるよう勧告する「多国籍企業行動指針」を作成。 

2)「行動指針」は、労働基準、環境、情報開示、技術移転、競争、税等幅広い分野における、責任ある企業行動に関する任意の原則と基準を定めるが、法的な拘束力はなく、その適用実施は各企業の自主性に委ねられている。 

3)「行動指針」は、OECD加盟国間の直接投資を容易にするためにOECD加盟国政府が1976年に採択した政治的コミットメントである「国際投資と多国籍企業に関するOECD宣言(以下「国際投資宣言」)」の下に定められたツールの一つとの位置づけ。 

4)「行動指針」は、世界経済の発展や企業行動の変化などの実情に合わせ、これまで4回(79年、84年、91年、2000年)改訂されている。 

OECD多国籍企業行動指針 ~構成と骨子~ 

 

序文 「行動指針」の基本的性格や背景の説明 

 

I. 定義と原則 

「行動指針」は多国籍企業に対し、良き慣行の原則・基準を提供するものであり、法的に強制するものでない。加盟国政府は「行動指針」の普及を促進することを原則とし、「連絡窓口」を設置する。

 

 II. 一般方針 

持続可能な開発の達成、人権の尊重、現地能力の開発、人的資本の形成、良いコーポレート・ガバナンスの維持のため企業は行動すべき。 

 

III. 情報開示 

企業は、活動、組織、財務状況及び業績について、タイムリーかつ定期的に情報開示すべき。 

 

IV. 雇用・労使関係 

企業は、従業員の権利の尊重、児童労働・強制労働の撤廃、受入国の基準を下回らない雇用・労使関係基準の採用、従業員の健康・安全確保のための適切な措置の実施、集団解雇の合理的予告などを行うべき。 

 

V. 環境 

企業は、環境、公衆の健康及び安全を保護し、持続可能な開発を達成することに十分考慮を払うべき。 

 

VI. 贈賄防止(2000年の改訂にて新設) 

企業は、賄賂その他の不当な利益の申し出、約束又は要求を行うべきでない。 

 

VII. 消費者利益(2000年の改訂にて新設) 

企業は、消費者との関係において、公正な事業、販売及び宣伝慣行に従って行動すべきであり、また、提供する物品・サービスの安全性と品質確保のため合理的な措置を実施すべき。 

 

VIII. 科学・技術 

企業は、受入国の技術革新能力の発展、受入国への技術・ノウハウの移転に貢献すべき。 

 

IX. 競争 

企業は、法律・規則の枠内において競争的な方法で活動すべき。 

 

X. 課税 

企業は納税義務を履行すべき。