《 コンプライアンス相談機能をより有効にするためのポイント 》

 

 1.コンプライアンスの視点で日常の業務遂行をすることの重要性の徹底

 

 ○コンプライアンスとは「○○に従って行動することを約束する」こと

 ○日常の事業活動の基準となるのは、

 ・法律を持って定められたルール(規制緩和と法化社会)

 ・国際社会において定められたルール(企業活動のグローバル化と社内的責任)

 ・業界で定めたルール(社会問題化と自主規制)

 ・企業が定めたルール(経営理念・行動規準・労働協約・就業規則など)

 ・人としてもモラル

 これらのルールは日々変化していくため、アンテナを張って情報収集を図るとともに、将来を見据えて常に改善する取り組みが必要

 ○コンプライアンスの視点を持って事業活動を行うことが、企業の持続可能な発展を支え、そこに働く人々の生活を守ることになる(短期的戦略と長期的戦略)

 ○コンプライアンスに反する行動は、様々な状況の変化の中でときとして発生しやすいものです。

 万が一発生した場合は、関係者がその事実確認に一致協力して取り組み、いち早く問題の本質をとらえ、必要な措置を行うとともに、再発防止のための適切な体制作りに全社を挙げて取り組むことを約束(行動基準遵守への誓約)

  

2.コンプライアンスを実践するために相談窓口の果たす役割の重要性

 

 ○さまざまな場面に求められる相談窓口の設置

 ○企業の不祥事の多くが“内部告発”をきっかけに発覚している現実

 ○不安な気持ちを整理・解消する手助けをする相談対応

 ○匿名での申し出への対応は見えない問題を掘り起こすきっかけ

 ○相談者が正しい行動を推し進めるための支援の役割

 

 3.調査を進めるうえでポイント

 

 ○社内調査の目的の明確化

 ○事実確認に至るまでのシナリオ作成

 ●いつ、どこで、誰に、何を、どのような手順で確認するのかにつて段取りを決めておきます。

 ・確認のポイントとその確認のための質問の準備

 ・事情聴取記録票の作成

 ・事情聴取のための話しやすい場所の確保、座席に配置

 ○事情聴取における配慮

 ●事実確認の進め方

 ・協力していただくことへの感謝

 ・日頃の貢献に対する評価とその努力に敬意の表明

 ・協力いただく趣旨についてその概要の説明

 ・職場の状況などについてオープンな質問から開始

 ・職場の状況についての報告にたいして要約と努力への謝意

 ・今回のテーマについて、その概要を伝え、そのことに関しての意見聴取

 ・疑問の点や不明確な点は必ず確認、特に時系列に整理することが重要

 ・事実とともにその裏にある思いも確認

 ・調査は迅速かつ慎重に進める

 ・証言等の評価は次のステップで行い、事情聴取の際は評価を行わないことが肝要

 ○事実を証明する証拠の確保

 ・証言の録音(本人の了解を得ることが望ましい)

 ・証言の記録(記録について本人の確認、事後のトラブルを避ける効果)

 ・物証(書類・データ・通信記録・抹消データの復元)の確保

 ・特定データへのアクセス、ダウンロード、インターネット閲覧

 ○収集した証拠の分析・評価及び検証作業

 ・解明した事実が100%真実であるかの見極め

 ・処分を行うための証拠

  

4.従業員への処分

 

 ○就業規則等に基づき適正な処分の実施

 ・公正さを確保するために事前に就業規則等で発生事象と処分の程度を定めておくことも検討

 ・問題認識の徹底と適正な処分

 ・申出者の意見によって対応が異なることのないよう適正な処分の実施

 ・必要があれば民事・刑事上の責任追及

 ・被害者の働く環境確保のための人事異動の実施(実施時期の配慮)

  

5.再発防止策の実施

 

 ○コンプライアンスの重要性の再徹底

 ○コンプライアンス違反を生じやすい職場風土の見直し

 CSR経営を推進するためのマネジメントの浸透

  

6.コンプライアンス違反事実の社内外への公表

 

 ○違反事実が社会への影響が予想される場合は、迅速かつ的確な情報開示の実施

 ○ハラスメントなど関係者のプライバシーを尊重すべき事例については事例の詳細を伏せての公表

 ○環境改善と再発防止につての取り組みについての情報開示

 ○コンプライアンス責任体制の再構築

 

 以上