《 コンプライアンス相談窓口の責任と権限 》
コンプライアンス相談(通報を含む)窓口は、社長直轄のコンプライアンス統括部署(あるいはコンプライアンス委員会)の一部として企業(グループ企業を含む)に関わる全ての人からのコンプライアンスに関わる申し出を受け対応する役割を担っており、まさに企業がコンプライアンス経営を推進するための企業の“顔”といえる存在なのです。
この意味からコンプライアンス相談窓口は、企業活動に関わるコンプライアンスに関わる問題の解決に対して全ての責任を持ち、その解決を通して、コンプライアンスを守り健全な企業活動を推進するためのあらゆる権限を事業主から委嘱されているといっても過言ではありません。
その権限は、具体的な取り組みの中で、関連部署と連携しながら発揮していくことになります。人事に係る措置は人事部と、職場における仕事の進め方や環境を改善する取組は関連部署と連携しながら、コンプライアンスを推進していくのです。
コンプライアンス相談窓口の役割を通してその責任と権限を見ていきます。
1. 相談体制の整備
コンプライアンス上問題がある行為を知った場合の報告は、原則として職制ラインを通して行われますが、何らかの理由で職制ラインが機能しない場合に備え、コンプライアンス相談窓口を設置します。
相談窓口の設置に当たっては、コンプライアンスに関わる問題をいち早く発見し対応するために、社内窓口のほか社外窓口の設置、女性の相談担当者の配置、受付時間の拡大など、相談をよりしやすくするための配慮が必要です。
相談窓口を設置したことを社内外へ周知しましょう。
周知に当たっては、コンプライアンス推進に関わる関連法規や社内規則、対応マニュアルなどを周知徹底し、違反行為や疑わしい行為を見聞きした時は、即相談する体制を整えます。
周知対象は、業務に関わる全ての人(正社員はもとより非正規社員・派遣社員・請負社員も含みます)を対象とし、研修会や勉強会、朝礼等あらゆる機会を通じて行います。
ポイントは、コンプライアンスの重要性と放置しておいたときのリスク、まさに会社の存続に関わる重要な問題であることを理解してもらいます。
グループ経営を行っている場合は、グループ企業に対しても同様の取組をすることが必要です。
さらに、取引先、派遣元会社等業務関連する組織にも自社の取組を周知しておくことは、コンプライアンスを推進するうえで効果的です。
2. 相談・報告のルール
① 原則顕名での相談
コンプライアンス相談窓口への相談は原則顕名で行ってもらいます。
なお、相談者の要望がある場合、
事実調査に当たり、相談者の名前を出さずに対応することも可能であることを伝えます。
ただし、匿名での相談に対しては、相談対応結果の報告ができないこと、再度申し出内容の確認ができず
その後の対応がストップするなど十分な対応ができないことがあり得ることを了解していただいたうえで
申し出を受けます。
② 秘密の厳守
相談は原則顕名とし、相談者からの申し出について秘密厳守とします。
相談者の了解なしに相談内容を勝手に外部に持ち出さないことを約束します。
事実調査のため相談何用を外部に出すときは相談者本人の了解のもとに行うことを約束します。
③ 不利な取り扱いの禁止
相談したことを理由に相談者に不利益な取り扱いなされることのないよう保証します。
また、グループ企業の社員等についても同様の保護が受けられるよう、指導・監督します。
万が一、相談を理由に不利な取り扱いを受けた者は、コンプライアンス委員会に相談できるよう体制を整えます。
④ 対応の事前了解と結果の報告
相談窓口は、当該申出への具体的対応について、相談者の了解を得たうえで取り組みます。
また、調査等を進める中で、状況の変化により対応を変える場合は、事前に相談者の了解を得ることが大切です。
例えば第三者からの事情聴取を始める場合の事前了解などがあります。
これは、新たな動きにより相談者への何らかの影響が起こる可能性への配慮をするためです。
相談を受けた事項への対応結果について相談者に適宜報告することが大切です。
この時相談による何らかの不利な取り扱いが起こっていないかも確認します。
3.問題発生時の対応
① コンプライアンス上の問題に有無の判断と・コンプライアンス委員会への報告
コンプライアンス相談窓口は、相談内容にコンプライアンス上問題があるおそれがあると判断した時は、
直ちに、コンプライアンス委員会にその旨報告します。
② 調査の開始
報告を受けたコンプライアンス委員会は、調査の適任者を選任し調査を開始します。
また、必要であれば、問題の性質に応じて、適宜、担当部署に問題の調査・対応を委嘱します。
調査に当たっては、相談者との約束事項の厳守を含め、具体的な進め方について指示します。
◇調査に当たっての顕名ないし匿名
◇事情聴取をする相手、聴取する順番、聴取する時期(余裕を持って設定)
◇調査に関わるものへの秘密保持の徹底(秘密漏えいについては処罰もあり得る)
◇事実(5W2H)、裏付け証拠及び行動の背景にある思いを確認するための調査の実施
(いつ、だれが、どこで、どのような行為をなぜしたのか、その方法と経済的影響は)
調査は、事実・背景・原因・影響の範囲等を判断するための材料(事実・証言・証拠・思い等)を
収集・確認するためであり、この段階での判断は行ってはなりません。
判断はすべての状況把握ができた段階で、その事実を分析・評価し行うことになります。
◇証拠物・情報等の早期確保、改ざん防止の処置
◇被申立者への事情聴取(ます外堀を埋めてから実施)
<ポイント>
○犯人扱いしない ○まず日ごろの貢献への感謝 ○事実の究明への協力依頼
○事実であった場合、その行動をとった理由の確認 ○今の思い
◇二次被害の防止
<ポイント>
○勝手な決め付けをしない ○申出者の責任を追及しない
○調査が噂に流れることの内容秘密厳守を徹底する
○申出者に対する不当な取り扱いが起こらないよう徹底する
◇確認した事実に基づく原因の究明
○原因の究明にあたっては、必要があれば専門家の参加の下実施してください。
○発生の要因には直接的要因のほか副次的要因(職場環境など)もあることに留意します。
③ 社長等への報告
当該問題が重要であると判断した場合は、直ちに社長にその旨を報告する。
○問題の影響が大きいと判断した場合は申し出受付と同時に第一方を入れます。
○問題が部門長の責任の範囲であれば、部門長にも報告を入れます。
○職場の問題として解決できる問題であれば、部門長に報告入れます。
報告の対象は、対外的にその責任を問われたときにだれが責任者となるかによって判断します。
判断時期は、その問題の重要度・緊急度・影響度等によって判断します。
④ 真相の究明と再発防止
全社的な見地で対応を要する問題については、速やかにコンプライアンス委員会のもとに調査委員会を組織し、
真相究明を図ります。
問題の解明と原因が究明できたら迅速に問題点の解消と再発防止の対策を講じます。
◇再発防止策の策定と実施
○相談者の保護を優先的に実施します
○被害の拡大を防ぎます
○再発防止のための措置を打ちます
○良質なコミュニケーションが活発に交わされる職場環境にします
○誰もが働きやすい職場環境づくりを目指します
○必要な啓発活動を計画・実施します
当該行為が就業規則等に反する場合は、当該行為者を規則に則り処罰します。
⑤ 相談者へのフィードバック
事実関係の調査結果及び対策について相談者に速やかにフィードバックします。
もし、相談者がフィードバックされた内容に不満がある場合、不満の理由あるいは新たな情報を明らかにしてもらい、
その内容に基づき、再調査の是非を判断します。
調査の結果が、単なる誹謗・中傷の類であれば、その旨伝え、必要があれば就業規則に則り相談者の処罰をします。
⑥ 情報の開示
問題が解決した後に、当該情報を整理し、再発防止を目的として全組織に対して当該事例の情報開示を行います。
◇発生事実 ◇発生原因 ◇再発防止のための措置 ◇処分内容等
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