事例 1「上司のいじめ」
ある人が仕事を辞めた直後から、上司にいじめられるようになった。
実は、辞めた人は、この上司のいじめのターゲットにされていた。その人が辞めてしまったので、一番若い私が、次のターゲットになってしまったのだ。
上司は、挨拶をしても無視するし、仕事の指示や重要な情報の連絡を、私だけにしない。
ミーティングについても聞かされておらず、資料の準備もしてなかったので、みんなの前で大きな声で怒られた。
「ミーティングがあることを聞いていませんでした」と言うと、上司から「情報にアンテナを張っていないからだ!」と頭ごなしに怒鳴られた。
仕事でわからないことを上司に尋ねても、「自分で考えろ」と言われるだけで教えてもらえない。
先輩たちも、上司に目をつけられることを恐れて、話しかけてくれなくなった。
最近、眠れなくなってきて、朝起きるのがとてもつらい。このままでは辞めた先輩の二の舞になってしまう。
Point
・事実を把握し、問題の本質に手を打つことが求められます。
・解決が難しいと思えるほど会社の問題として取り扱うことが必要です。
・心身の状況を確認し、必要な手立てをとることが大切です。
・ハラスメントは職場全体に大きな影響を与えていることも少なくなく、企業として適切な職場改善を実施する必要があります。
(労働契約上の職場環境整備・配慮・改善義務)
取組の視点
□相談相手を探す
・職場の中で誰かに相談してみましたか?
・職場で信頼できそうな人はいませんか?
・職場以外(人事の人など)に相談することはできませんか?
□事実を記録する
・これまでのいきさつについて記録していますか?
・これまでのいきさつについて思いつく範囲でよいので記録にとっておいてください。
・今後起こることについてしっかりと記録に残しておいてください。
○いつ・どこで・何が・どんな状況で起こったか?
○そのことを見ていた人はいるか?
〇そのことを証明する物証はあるか?
・そのような行動の至る背景について何か気づくことはありませんか?
・上司の他の人への対応について?
☆記録は、悪いことばかりではなく、良いことも記録しておきましょう。
悪いことばかり見ていると、問題の本質を見誤ることがあります。
□心身の状況について確認する
・現在の心身の状況について確認する。
・医者に診てもらっていますか?その診断結果は?診断書をもらっていますか?
・必要があると思われるときは会社の診療センター等を紹介します。
□問題解決に向けた本人の意向を確認する
・本人がこの問題をどのような方向で解決したいかを確認します。
・解決への道筋をいくつか示し、本人の意向を確認します。
○誰が ○どのような方法で ○何時 ○何を行う
○今後起こることについては必ず記録を取り、その都度連絡をすることを約束する。
□他に話したいことがあればお聞きする
○今回の申し出は申し出しやすい内容である場合が多く、実際には日常的な問題を抱えている場合が多い。
○「何でもよいからお話ししてください」と投げかけてみることも大切です。
□退職者からの事情聴取
・必要があれば、当該退職者から事情を聴く等の対応が必要になります。
・本人理由による退職時には必ず退職の理由を確認しておくことが大切です。
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