事例13「部下との関係」
昨年入社し、相談窓口に配属されたB(24歳、正社員、男性)は、顧客としばしばトラブルを起こす。
客先に同行したところ、言葉遣いは丁寧だが、終始むっとしたような表情で、顧客のジョークに付き合うでもなくいわゆる慇懃無礼な態度であった。任された仕事はきちんとするが、急な残業や休日出勤は断るし、飲み会にも付き合おうとしない。
一昨日、私は、Bにもう少し柔軟な態度になったほうがいいと注意した。すると今日、他の部下から「Bが係長からパワハラを受けたと言っていた」と聞きショックを受けた。今後Bにどう接していいかわからなくなっている。
Point
・残業命令に部下は拒否できるのか ?
会社が従業員に残業命令をして良いのは、
(1)会社が労働組合や従業員代表と書面による協定(36協定といいます)
を取り交わし、これを労働基準監督署長に届けている場合で、かつ
(2)就業規則に「残業させることがある」旨を明記している 場合 に限られます。
この範囲での残業命令に対し原則従業員は残業を拒否することができません。
ただし、残業命令が労働者の利害を著しく損なう場合(家族等の介護・育児、体調不良等)にはやむを得ない理由があるとして残業を拒否できると考えられています。
ただし、残業命令が誰かに集中しているとか、予定を知りながら常に配慮をせずに残業を命じるならば、それは問題視されかねません。
全体の業務分担を見直すなり、職場全体で業務の在り方について話し合ってみるなど工夫が求められます。
・飲み会に参加しなくてはならないか
自主参加のケースであれば、参加しないことは個人の選択によります。強要は許されないでしょう。
ただし、期末会やキャンペーンの打ち上げなど、業務の一環としての飲み会と考えられるでしょう。参加を原則として、合理的な理由がある場合は、不参加もあり得ます。
・注意したら何でもかんでも「パワハラ」か?
そんなことはありません。業務上必要な指示・命令は管理者の当然の行為であり、その命令に従わなければ、業務命令違反として就業規則に則り処罰の対象となりえるのです。
公私のけじめを明確にし、的確な指示・命令を毅然たる態度で行ってください。
(禁句):人格を傷つけるような言動は絶対に許されません。
取組の視点
□今回の問題解決に向けた取り組み
・まずはじめに、Bと相談窓口の役割につて話し合いましょう。
○具体的なケースについてBの思いを聴いてみてください。
お客さまからの申し出について、どのような対応をするのがよいのか、話し合うことが必要です。
お互いの意見を出し合い、よりよい対応について考え、実行することが望まれます。
(留意点)気になることばかりを話題にするのは、かえって問題を深刻にすることになります。
○「むっとした表情」の理由(性格なのか、苦情の申し出に不満を持っているのか)を探ってみましょう。
相談対応について意見交換した後、気になる点について素直な気持ちを相手に伝え、本人がどのように感じているのかを確認してみましょう。
・職場全体で、具体的な相談事例を基にしたケースワークを実施し、相談窓口の役割、お客様への対応の仕方、問題解決と苦情申出者のサポーター化への取組などについて常に確認しあうことが必要です。
窓口の素晴らしいは、新しいサポーターを作る良い機会なのです。
お客様の申し出は、企業にとって宝物なのです。
しっかり受け止め、素晴らしい対応を心がけましょう!
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