《 男女共同参画社会はジェンダー・フリーな社会 》

 日常生活の中のジェンダーについて調べてみましょう

  

ジェンダー・フリーとは?

性別にこだわらず、とらわれず行動することです。

「女らしさ」・「男らしさ」にしばられず、自分らしく生きることです。

「女だから・男だから」、「女のくせに・男のくせに」、「女らしく・男らしく」はもうやめようということです。

ジェンダーにしばられて人間らしく、自分らしく生きられないとしたら、それはとても不幸なことではありませんか。

ですから、ジェンダー・フリーは『人権問題』なのです。

  

ジェンダー(gender)とは?

社会的・文化的性差や、女らしさ・男らしさのことです。

私たちは、これまで、こうした性差や女らしさ・男らしさは生まれながらのものであると思っていました。

しかし、近年、これらはむしろ社会的・文化的につくられたものであることがわかってきました。

そこで、「女性と男性は、生まれながらに性質が異なるんだ」という考え方(性別特性論)をやめようと、ジェンダーという言葉が使われるようになりました。

ジェンダーは、あたりまえのことのように、私たちの意識や生活の中に溶け込んでいて、気づきにくいものです。

ですから、私たちは、知らず知らずのうちに、ジェンダーにしばられたものの見方や、言動をしています(ジェンダー・バイアス)。

ジェンダー・フリーな社会を目指すためには、私たちの意識や生活の中に組み込まれているジェンダーに敏感に気づいて(ジェンダー・センシティブ)、なくしていく必要があります。

私たちの意識や生活の中に、巧妙に隠されているジェンダーを見つけ出してみましょう。

 

 【 家庭の中のジェンダーに気づく 】

  

夫婦に上下関係を持ち込んだり、「男は仕事、女は家事・育児」という考え方にこだわっていませんか?

 例えば、

   妻を「奥さん」、夫を「主人」と呼ぶのは当たり前である。

   夫の意見や好みが優先される。

   夫がよく「誰に食わしてもらっているんだ」という。

   子どもが小さいうちは母親が育てるのが当たり前である。

   夫は働いて家族を養ってさえいれば、家事はしなくても許される。

   介護などで家族の面倒を見てくれるような女性がよい。

  

女の子と男の子で異なった育て方をしていませんか?

  例えば、

   (女の子)ピンク/(男の子)ブルー

   (女の子)おままごとセットや人形/(男の子)ロボットのおもちゃやスポーツ用品

   (女の子)かわいらしく、やさしい子に/(男の子)たくましく強い子に

   (女の子)勉強よりも家事を手伝わせる/(男の子)家事をさせるよりも勉強をさせる

   (女の子)「いいお嫁さんになれるように」/(男の子)「妻子を養えるように」

   (女の子)「女の子なのにおてんばで困る」/(男の子)「男なら泣くんじゃない」

  

男女共同参画社会とは?

 男女が、社会の対等な構成員として、自らの意思によって社会のあらゆる分野における活動に参画する機会が確保され、もって男女が均等に政治的、経済的、社会的および文化的利益を享受することができ、かつ、共に責任をになうべき社会のこと。

  

夫婦別姓とは?

 夫婦がそれぞれ別の姓を名乗ることができる制度。

 夫婦が別姓でも家族である。

  

リプロダクティブ・ヘルス/ライツとは?

 女性のからだの健康と性と生殖について、生涯をつうじて自己決定できるという女性の権利。

 女性の性や出産について、宗教や道徳、政府や周囲の考えによって管理したり、決めたりするのではなく、女性自身が決定するということである。

  

【 学校の中のジェンダーに気づく 】

 

男女共学になって、一見男女平等であるかのような学校。

 

 しかし、ジェンダー・バイアスな『隠れたカリキュラム』がたくさんあります。

  例えば、

   名簿、座席、下駄箱、ロッカーなどは男女別である。

   ランドセルや道具箱など、女性用はピンクや赤、男性用は青や黒と決められている。

   女子は「○○さん」、男子は「○○くん」と呼ばれる。

   女子は文系、男子は理系と思いがちである。

   女の子だから短期大学でもいいと思いがちである。

   「女の子だから」と言葉づかいや行儀について注意する。

   「男の子だから」とスポーツをするよう進める。

   「男子なんだから、女子に負けるな」ということがある。

   PTAに参加するのは女性が多いが、会長は男性である。

   校長先生は(女性・男性)

 

 隠れたカリキュラムとは?

 学校における習慣や慣行、教職員の価値観、何気ない発言、行動などで、子どもたちへ影響を与えているものをいいます。

 学校が、無意図的、無意識的に姓の不平等を再生産している現状を鋭く指摘している言葉です。

 男女別の名簿も「隠れたカリキュラム」の一例です。

  

男女混合名簿とは?

 男子が先に来る名簿が、不必要な女・男の区別と男性が優先という序列を教えているとの反省から、女子と男子を混合にした50音順の名簿のこと。

 あなたの街の学校はいかがでしょうか。

  

【 職場の中のジェンダーに気づく 】

  

女性と男性が対等な職業人ではないと思っていませんか?

 例えば、

   お茶くみやコピーなどの雑用は、女性の仕事になっている。

   女性にだけ制服がある。

   女性には重要な仕事を任せられないと思っている。

   女性にはまとめて「うちの女の子」などという。

   宴会などのとき、女性にお酌などをさせている。

   「寿退職」や「出産退職」などの慣行がある。

   コース別人事制度を採用している。

   子どもが病気のときは、母親(女性)が仕事を休むべきだという雰囲気がある。

  

男性が家庭的責任を果たしにくいことはありませんか?

 例えば、

   実質的な労働時間が長く、休暇も取りにくい。

   「男性は仕事をしてこそ一人前」などといわれる。

   男性が「育児休業」や「介護休業」を取ることは難しい。

 

 調べてみましょう、職場の男女共同参画の実態

 社長は、(女性・男性)

 取締役には、女性(  )名/男性(  )名

 課長級以上の管理職には、女性(  )名/男性(  )名

 

 ガラスの天井とは?

 企業や組織において、女性の昇進を阻む、強固で目に見えない壁がある実態をいう言葉。

 このガラスの天井をなくすためには、経営者や男性管理職が「女性の能力を活用できないのはマイナス」であることに気づくことや、女性自身も内なる壁(責任ある地位につきたがらないなど)を打ち破ることが必要である。

 

パパ・クオーター制とは?

 北欧諸国に見られる、父親に一定の育児休暇を取得するよう割り当てる制度。

  

【 地域社会の中のジェンダーに気づく 】

  

伝統やしきたりということで、男尊女卑や性別役割分業を温存していませんか?

 例えば、

   自治(町内)会長は、必ず男性である。

   男性は上座で、女性は下座である。

   会合では、女性が湯茶の準備や後片付けをし、男性だけが話し合っている。

   地域の行事では、女性は裏方で、男性だけが表舞台に立っている。

   地域の行事では、調理や細かい仕事は女性で、大工仕事や力仕事は男性である。

   お祭りの寄付者の名簿には、一家を代表する男性(夫)の名前を書く。

   子ども会などで出す記念品や賞品が、女の子用がピンク、男の子用がブルーなど、区別されている。

   女性や女の子が参加できないお祭りがある。

   ボランティア活動をしているのは、女性ばかりである。

   日常の近所づきあいを、女性(妻)にまかせきりである。

 

 アンペイド・ワークとは?

 無償または経済的評価が行われない労働や活動のこと。

 自営業などにおける家族の労働、家事や子育て、ボランティア活動など、主に女性が担っている。

  

エンパワメントとは?

 自らの能力を高め、自分自身の可能性をひろげていくこと。

 女性や障害者などこれまで差別された人たちが、政治、経済、社会、文化などの領域への参画を目指す。

  

メンズリブとは?

 90年代に入り活発になった、男性の側からのジェンダー・フリーの取り組み。

  

【 政治や行政の中のジェンダーに気づく 】

  

私たちの住むまちは、ジェンダー・センシティブでしょうか。

身近な存在である市町についてチェックしてみませんか。

 

 調べてみましょう、あなたのまちの男女共同参画の実態

市町議会議長は(女性・男性)

 市町議会の議員の数は 女性(  )名/男性(  )名

 助役は(女性・男性)

 収入役は(女性・男性)

 課長級以上の公務員の数は 女性(  )名/男性(  )名

 図書館長は(女性・男性)

郵便局長は(女性・男性)

 保険所長は(女性・男性)

  

あなたの街のジェンダー・フリーな取り組み

 住んでいる市町に、女性問題や子育てサークルの活動に、女性が気軽に使える施設がある。

 自治体が主催する「女性問題」の講演会や講座などの企画がある。

 自治体が男性の意識や行動を変えるような取り組みをよくしている。

 自治体が主催、後援する「ミスコンテスト」はない。(廃止された)

 図書館などに「女性問題」や「ジェンダー」のコーナーがある。

 

 男女共同参画社会基本法とは?

 ジェンダー・フリーな社会を目指すために制定された法律(1999623日施行)。

 国や行政、企業、個人が、どの分野にも「ジェンダーに気づく敏感な視点」を持って性差別の撤廃、ポジティブ・アクション、社会における制度または慣行の見直しなどに取り組んでいくことにより、「誰もが自分らしく生きるための男女共同参画社会」の実現を目指しています。

   

ポジティブ・アクションとは?

 差別の解消のために、雇用、教育、政治などの場でとられる積極的な差別是正策。

 アファーマティブ・アクションともいう。

 

オンブズパーソンとは?

 行政活動の監視や苦情などの受付、原因の調査などを行う、中立的な独立機関。

  

【 メディアのジェンダーに気づく 】

  

マスメディアが描く女性像・男性像には、性別による差別や偏りがたくさんあります。

 例えば、

   ドラマなどで、「男性は仕事、女性は家事・育児・介護」という性別役割分業が当たり前のように演じられている。

   番組などの司会では、男性がメインで女性がサブである。

   「女らしいやさしさ」「女性特有の感情」「男らしい決断」「男ならではの実行力」などの表現が使われている。

   従来の女性役割(男性役割)と異なる言動した人について、「でも、こういうところは女らしい(男らしい)」と、伝統的なイメージをあえて探して表現する。

   女性の場合のみ、「女性~」「女~」「女流~」とつける。(女医、女社長、女流作家)

   CMなどで、人目を引くために、女性の水着姿や性的なニュアンスのあるイメージが使われている。

   若さや性的魅力だけが女性の価値であるかのような表現がされている。

   女性についてのみ、容姿や配偶者の有無などを取り上げている。

   女性が犯罪の被害者である場合、事件に無関係でも、交友関係や離婚暦などに触れる。

   男性主体のマスメディアから、ジェンダー・フリーのマスメディアに変わっていくためには、メディアで働く女性を増やす必要があります。

   私たちも「おかしいな」と感じたら、それをマスメディアへ積極的に伝えていくことが大切です。

  

性の商品化とは?

 性を、ことに女性の性をその人格から引き離して、お金で売り買いできる「モノ」として扱うこと。

  

メディア・リテラシーとは?

 マスメディアの流す内容を、ジェンダーに敏感な視点で解読・批判し、活用する能力と、自分達の伝えたいことをメディアを使って発信すること。